前回に続き、ボリビアの国の情報をいくつか紹介。
大統領を元首とする共和制国家。大統領の任期は5年。大統領と副大統領が直接選挙で選出される。大統領が死亡や辞任した場合、副大統領が大統領に昇格する。首相職はない。
議会は両院制、上院は27議席、代議院(下院)は130議席。両院とも任期は5年。
★ボリビアでは建国(1825年)より170年の間に180人もの大統領が就任した。任期の平均は10ヶ月。同時に複数の大統領が就任していたこともある。権力の交代はクー・デ・タが大半。
1982年にシーレス・スアソ大統領が就任してからは議会制民主主義が定着。
★2006年1月22日エボ・モラレス大統領はボリビア史上初の先住民出身の大統領で、先住民の権利拡大や大統領の再選を可能とする新憲法案を承認させた。
軍事:
陸・海・空軍を保有。12ヶ月の徴兵制度がある。ボリビアは海岸線を現在は持たないが、海軍は大西洋やチチカカ湖で演習を行う。また国境の河川などの警備につく。
地理:大きく分けて3つに分かれる。
①アンデス高地
ボリビアの国土の29%を占める。約32万km²。
さらに西アンデス山脈・東アンデス山脈・アルティプラーノに分けられる。
アルティプラーノはボリビア領アンデス高地の42%を占め、人口の大半は西部
に集中している。
ラパスもここにある。また建国以来の主要産業であったスズ(Tin)鉱山もこの高地
から低地部にかけてある。
②アンデス低地
国土の9%を占める。アンデス地帯とアマゾン地帯の中間の場所はバジェ(Valle)
と呼ばれる。
その中で北部はユンガスと呼ばれ、高温多湿、標高も600m~3300m。果樹栽
培に適した気候で、インカやそれ以前よりインディヘナ農民によるコカの栽培も盛ん
である。その他の主要産業は農業で、ジャガイモ、キノア、トウモロコシ、米、小
麦、野菜、果実が栽培されている。もしユンガスが存在しなければ人口150万のラ
パスは成り立たないと言われている。
★ユンガスとはケチュア語で「深くて熱い低地もしくは渓谷」を意味する「ユン
カ」に由来。
③東部低地
国土の約62%を占める。アマゾン地帯で、リャノ(Llano)またはオリエンテ
(Oriente)と呼ばれている。北部は熱帯雨林が広がり、南部は乾燥しているグランチャ
コ地方でパラグアイの国境近くである。まだまだ開発は進んでおらず、未発見の生物
の宝庫として、生物学そして薬学・医学の分野でも最近注目されている。
また近年開発が進んだサンタクルス市はラパスに次ぐ大都市と発展(人口ではラパス
を越える)。発展の要因は農業、牧畜以外に油田開発で、埋蔵量は1億1000万
バレルと推定されている。
行政:9つの県が設けられている。県の下には郡、そして郡の下には地区に分けられる。
経済:
国内総生産は78億ドル。一人あたりのGDPは870ドル。
①鉱業
19世紀末までは金と銀、20世紀以降は錫(Tin)がボリビアの経済の主流であっ
た。1942年ボリビアは錫の世界生産量の45%を占めていた。当時鉱物は輸出
額の94%を占め、うち錫はその80%を占めた。そんな中鉱物成金が生まれ、
「三大錫王」の一人シモン・パティーニョが有名である。しかし鉱物の価格の暴落が
ボリビアは深刻な経済危機を招いた。その後鉱山の国有化で回復するが1980年代
の国際価格の暴落でまた打撃を被る。その他の鉱物としては亜鉛(zinc)、金、銀、アン
チモン(antimony)、タングステン(tungsten)などが上げられる。
★国内で採掘できないのは、石炭・ボーキサイト・クロム・プラチナ・宝石のみ
である。
②エネルギー
ボリビアの主要なエネルギー産業は天然ガス、石油である。主に東部低地が中心で、元は石油公社の独占であったが、現在は民営化の傾向にある。
1930年には東部で油田が発見され、年間1100万バレルを生産、そのほとんどが国内で消費される。一方2001年には世界最大規模の天然ガス田が発見され、その生産の70%が輸出に向けられる。主にアルゼンチン、ブラジル、チリへ。そのほか南部のウユニ塩原には推定540万トンのリチウム(世界埋蔵量の半分以上)が埋蔵されている。
③農業
1952年のボリビア革命以後、サンタクルスを中心とした東部の低地地帯では開
墾、農業開発が進み、大豆、サトウキビ、綿花、コーヒー、バナナなどの輸出用農
業が盛んである。また北部の熱帯地域ではカカオを、西部のアルティプラーノではコ
カの栽培が行われている。現在の中心的な産業で、労働人口の半分が従事。
★2000年の時点で経済活動人口は約382万人。うち半分は都市部で就労し
ている。失業者は約167万人。失業率約7.4%